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最高裁判所第一小法廷 平成6年(行ツ)137号 判決

神奈川県厚木市上依知上ノ原三〇三四番地

上告人

日本フルハーフ株式会社

右代表者代表取締役

入江義朗

右訴訟代理人弁護士

青木康

同 弁理士

荒垣恒輝

大橋勇

大橋良輔

大阪市中央区北浜四丁目七番二八号

旧商号日本トレールモービル株式会社

被上告人

日本トレクス株式会社

右代表者代表取締役

高橋正榮

右訴訟代理人弁理士

藤木三幸

右当事者間の東京高等裁判所平成四年(行ケ)第一一七号審決取消請求事件について、同裁判所が平成六年四月二一日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立てがあった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人青木康、同荒垣恒輝、同大橋勇、同大橋良輔の上告理由について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、原審の専権に属する事実の認定を非難するか、又は独自の見解に基づき若しくは原判決を正解しないでこれを論難するものにすぎず、採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 藤井正雄 裁判官 小野幹雄 裁判官 遠藤光男 裁判官 井嶋一友)

(平成六年(行ツ)第一三七号 上告人 日本フルハーフ株式会社)

上告代理人青木康、同荒垣恒輝、同大橋勇、同大橋良輔の上告理由

一 上告理由の結論

原判決が、訂正後の特許請求の範囲に記載された本件発明が当業者にとって容易に発明しうるとは到底認められないとした本件審決の判断に誤りはないと判断したことは、特許法一二九条一項、一二六条三項及び同法二九条二項の規定の解釈、適用において判決に影響を及ぼすこと明らかな法令の違背があり、また理由不備の違法がある。

二 原判決および原判決の対象となった本件審決

原判決は、「『甲第六号証ないし第一〇号証及び第一一号証の一の記載を組み合わせてみても、訂正後の特許請求の範囲に記載される本件発明が当業者にとって容易に発明し得るとは到底認められない』とした審決の判断に誤りはなく、取消事由3は理由がない。」(判決書三五頁二行~六行)と判断し、本件審決は、「甲第一号証乃至甲第六号証(原審における甲第六号証ないし甲第一一号証の一)の記載を組み合わせてみても、訂正後の特許請求の範囲に記載される本件発明が当業者にとって容易に発明し得るとは到底認められないから、特許法第二九条の規定により拒絶されることはない。」(審決書一八頁五行~九行)と判断している。

三 本件発明の特許請求の範囲と作用効果

(一) 本件発明の特許請求の範囲は次のとおりである。(分かり易くするために、符号を付して示し、かつ、本件審決にならって要件aないしdに区分した。)

「内部に充填する断熱材37を覆う内張部材34、35をそれぞれ装着した天井部31、左右の各側壁30、前端壁6、開閉扉を設けた後端部5と、床部材下部に断熱材16を設けた床部11とを含む長手直方体形状の貯蔵室及び該貯蔵室用の冷却手段7を具備した海上コンテナにおいて(以下「要件a」という。)、側壁30の内張部材34上端部と天井部31の内張部材35側壁部とを長手方向に伸びる断面L字形部材36をもって結合し(以下「要件b」という。)、該L字形部材36の両フランジ端部を水密に且つ比較的曲率半径の大きい滑らかな湾曲面38aを与える略円弧状断面の別体の隅部材38により覆ってなる(以下「要件c」という。)海上コンテナの内部隅部構造(以下「要件d」という。)。」(甲第五号証二頁)

(二) 本件発明は、略円弧状断面の隅部材38により「貯蔵庫内の洗浄作業が容易化され、汚濁物の除去は短時間にてしかも十分に達成される」(甲第五号証四頁右欄二二行~二四行)という作用効果(以下「作用効果〈1〉」という。)を奏し、断面L字形部材36により「隅部材の取付けに先立って内張部材間を結合するので隅部材の取付けを容易にし」(同四頁右欄二七行~二九行)という作用効果(以下「作用効果〈2〉」という。)を奏し、断面L字形部材36と隅部材38とにより「断面三角形の二重構造を形成して一層の隅部の補強を図ることができる」(同四頁右欄三〇行~三一行)という作用効果(以下「作用効果〈3〉」という。)を奏する。

四 本件発明の進歩性判断

(一) 進歩性判断の意義

原判決が対象とした本件審決(訂正無効の審判の請求は成り立たないとした審決)は、本件発明が特許法二九条二項の規定に該当しているにもかかわらず、願書に添付した明細書の訂正は同法一二六条三項の規定に違反していないと判断し、原判決が、本件訂正は同法一二六条三項の規定に違反していないとした本件審決の判断に誤りはないと判断したのは法令違背の違法があり、原判決に影響を及ぼしていることは明らかである。

本件発明が進歩性を有する場合には特許法二九条二項の規定に該当せず、他方、本件発明が進歩性を有しない場合には右規定に該当して特許を受けることができないと判断されることに鑑み、進歩性があるかないかの判断により原判決に法令違背の違法があるかないかが決せられるところに進歩性判断の意義がある。

上告人が本件発明は進歩性を有しないと判断する理由は以下に述べるとおりである。

(二) 進歩性の有無の判断手法

特許法二九条二項は、「特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が前項各号に掲げる発明に基いて容易に発明をすることができたときは、その発明については、同項の規定にかかわらず、特許を受けることができない。」と規定しているところ、ある発明が「前項各号に掲げる発明に基いて容易に発明をすることができた」か否かを判断するに際しては、発明の作用効果を参酌して、当該発明の作用効果が公知発明の作用効果に比較して顕著な差異があるときには進歩性ありとし、顕著な差異がないときには進歩性なしとする判断手法が定着している。(昭和五九年五月二四日東高判・兼子一ほか一名編者「判例工業所有権法」現行法編5二〇九五の二三〇一頁(本判決は最高裁昭和五九年(行ツ)三四一号で支持された。)

平成四年四月二八日東高判・染野義信ほか一名編著「判例工業所有権法」(第二期版)2七一一の一一三頁(本判決は最高裁平成四年(行ツ)一四四号で支持された。)参照)

(三) 進歩性判断の基礎となる公知文献

〈1〉 「冷凍コンテナ便覧」(甲第六号証)

図一・六四につき一部の部材に符号を付した原判決添付の参考図1(以下、単に「参考図1」という。)において、内部に充填する屋根保冷材37'、側保冷装置16'を覆う屋根内張35'、側壁内張34'をそれぞれ装着した天井部31'、左右の各側板30'、前端壁6'、戸板を設けた後端部5'と、床板下部に床保冷材を設けた床部4'とを含む長手直方体形状の貯蔵室及び該貯蔵室用の冷却手段7'を具備した冷凍コンテナが記載されている。

一〇四頁の図一・七〇の拡大図につき、想定される箇所に側壁内張と側板を書き加え、各部材の符号を付した原判決添付の参考図2において、天井板35'の左右上端部に断面L字形部材36'が載置され、天井板35'の左右下側に、平坦屈曲面を有する断面略L字形部材38'が天井板35'を挟むように配され、部材38'は特殊ナイロンリベットにより部材36に結合されている構造が示されている。

原判決は「甲第六号証記載のものにおいて、SIDE WALLLINING(側壁内張)が上記断面L字形部材と平坦屈曲面を有する断面略L字形部材(参考図2の符号36'と符号38'の各部材)の間に挟着支持されているものと認定することはできない。」(判決書三〇頁一〇行~一三行)と述べているが、〈a〉参考図2において、天井板35'の端部が部材36'と部材38'の間に挟着された構造が記載されていること、〈b〉参考図2において部材36'と部材38'の垂直部分の間にスキマが存在していること、〈c〉後述する月刊「定温流通」(甲第一一号証の一)の第一〇頁リーファーキットの拡大図(原判決添付の参考図3)に側壁内張34'が二層アルミ隅金具36'及び38'の間に挟着された構造が記載されていることに徴すると、「冷凍コンテナ便覧」(甲第六号証)の図一・七〇には側壁内張は図示が省略されているけれども、参考図2に示すとおり、側壁内張34'は部材36'と部材38'の間に挟着支持されているとみるのが自然であり、これと反する原判決の判断は常識に反している。

巻末の写真1ないし3は、上告人が「冷凍コンテナ便覧」(甲第六号証)の図一・六四、図一・六八、図一・七〇、図一・七一、図一・七二に基づいて製作した上隅部の模型を撮影した写真であり、側壁内張34'の上端部が部材36'と部材38'の間に挟着支持されている構造も示されている。

写真1は右模型を外側から見た写真である。

写真2は右模型を真横から見た写真である。この構造は、村田章氏が「冷凍コンテナ便覧」(甲第六号証)九八頁ないし一一五頁の記載に基づいて作成した鑑定書(甲第一四号証)に添付の想定断面図と一致している。原判決は鑑定書(甲第一四号証)を「さしたる根拠が示されておらず、採用することができない。」(判決書三〇頁末行~三一頁一行)として排斥したが、原判決のその判断は、右に述べた〈a〉ないし〈c〉の理由により、誤っている。

写真3はコンテナの上隅部をコンテナの内部から見上げた写真である。この写真に示される構造は参考図2と一致している。

〈2〉 英国特許第六八四九三二号明細書(甲第八号証)

車両の断面図を示す第五図において、隅部の断面が略円弧状を呈しており、「隅部は内・外共に連続的に丸味を帯びており、(中略)あらゆる隅部において車両の清掃を容易にしている。(甲第八号証七頁六六行~七一行の訳文)と記載されている。

〈3〉 月刊「定温流通」(甲第一一号証の一)

第一〇頁に「リーファーキット」の縦断面図が記載されている。「リーファーキット」は上告人が製作したコンテナの商品名である。この「リーファーキット」の縦断面図の拡大図(参考図3)において、側壁内張34'の上端部が二層のアルミ隅金具36'及び38'により支持され、天井板の端部が二層アルミ隅金具36'及び38'により支持されているのが看取される。

(四) 本件発明と公知文献との対比

(1) 要件aとの対比

本件発明の要件aは冷凍コンテナの普通の構造を記述しただけのものであって、「冷凍コンテナ便覧」(甲第六号証)の図一・六四(参考図1)にすべて開示されている。

(2) 要件bとの対比

本件発明の要件bは、訂正明細書(甲第五号証)第3図を参照すると、次の構造を記述している。

内張部材34の上端部と内張部材35の端部とを長手方向に伸びる断面L字形部材36をもって結合すること

原判決添付の参考図2(「冷凍コンテナ便覧」(甲第六号証)の図一・七〇に側壁内張34'を書き加えたもの)において

側壁内張34'の上端部を天井板35'の端部とを長手方向に伸びる断面L字形部材36'をもって結合すること

が記載されており、この構造は本件発明の要件bと同一である。

(3) 要件cとの対比

本件発明の要件cは、訂正明細書(甲第五号証)第3図を参照すると、次の構造を記述している。

L字形部材36の両フランジ端部を水密にかつ比較的曲率半径の大きい滑らかな湾曲面38aを与える略円弧状断面の別体の隅部材38により覆ったこと

右参考図2には、

断面L字形部材36'の両フランジ端部を平坦屈曲面を有する別体の断面略L字形部材38'により覆ったこと

が記載され、「冷凍コンテナ便覧」(甲第六号証)に「各部接合部はシーラにより十分水密を保たれている。」(一一五頁六行)と記載されていることに鑑み、参考図2のものにおいても接合部は水密性が保持されるように組み立てられているものと考えられる。(判決書三一頁二行~五行も同趣旨を述べている。)

よって、参考図2には、隅部材の断面形状の相違を除いて、本件発明の要件cに相当する構成が開示されている。

(4) 要件d

要件dは発明の名称を再記しただけのものであるから、格別の技術的意義はない。

以上を約言すると、本件発明の隅部材38は断面が略円弧状であるのに対して、「冷凍コンテナ便覧」(甲第六号証)の隅部材(参考図2の符号38'の部材)は断面略L字形のものであって、屈曲部は角張った形状を呈している点が相違しているだけであって、両者はその他の構成においてはすべて一致している。

そこで、この相違点について考察すると、英国特許明細書(甲第八号証)に、車両の清掃を容易にするために、隅部(第五図)は内外共に連続的に丸みを帯びていることが記載されており、隅部の清掃を容易にするという作用効果は、本件発明の作用効果〈1〉(「貯蔵庫内の洗浄作業が容易化され、汚濁物の除去は短時間にてしかも十分に達成される」)と同一である。本件発明の作用効果〈1〉は英国特許明細書(甲第八号証)記載の隅部(第五図)がもともと有している作用効果であり、参考図2の符号38'の部材を英国特許明細書(甲第八号証)記載の丸味を帯びた隅部に代えたことにより顕著な作用効果は何も生じない。

ちなみに、原判決は「天井板の左右下側に配された部材(参考図2の符号38'の部材)は、上記のとおり断面略L字形のものであって、屈曲部は角張った形状を呈しているから、本件発明の隅部材における『比較的曲率半径の大きい滑らかな湾曲面を与える略円弧状断面』のものとはいえない」(判決書三一頁六行~一〇行)と述べているが、上の隅部は汚濁物の付着が少ない(本件発明の出願当初の明細書に、「この隅部〔注 上の隅部。図面第3図〕は前記実施例〔注 下の隅部。図面第2図〕と比較すれば汚濁物が滞留及び固着することは少ない」(甲第二号証一〇頁二行~四行)と記載されている。)から、上の隅部の清掃作業はもともと楽なこと、加うるに、本件発明の訂正明細書(甲第五号証)に、「従来貯蔵庫内の各隅部は直角に構成されているため、汚濁物はことさらコーナ部に集合し易く、しかも糊状であるために滞留した後に凝固してこの部分に固着することとなる。」(第三頁左欄一行~五行)という問題の改善策として「角ばったコーナ部を廃した」(第三頁右欄二四行)という記載に徴すると、参考図2の部材38'のコーナ部も直角を廃して直角よりもずっと大きい角度に形成されているから一層洗い易くなっており、本件発明の隅部材38も参考図2の部材38'も洗い易さの点において格別の差異はないと考えられる。

よって、参考図2の部材38'を英国特許明細書(甲第八号証)記載の隅部に代えても作用効果に格別の差異はないのであるから、設計上の微差にすぎないと判断するのが相当である。

参考図2の部材36'は、本件発明の作用効果〈2〉(「隅部材の取付けに先立って内張部材間を結合するので隅部材の取付けを容易にし」)と同一の作用効果を有し、部材36'と部材38'とにより本件発明の作用効果〈3〉(断面三角形の二重構造を形成して一層の隅部の補強を図ることができる。)と同一の作用効果を奏する。

結局、「冷凍コンテナ便覧」一〇四頁の図一・七〇に記載された平坦屈曲面を有する断面略L字形部材(参考図2の部材38')を略円弧状断面の隅部材に代えることは設計上の微差にすぎず、右の図一・七〇に記載された断面L字形部材(参考図2の部材36')および平坦屈曲面を有する断面略L字形部材(参考図2の部材38')は本件発明の作用効果〈2〉及び〈3〉を具備しているから、訂正後の特許請求の範囲に記載された発明は「冷凍コンテナ便覧」(甲第六号証)、英国特許明細書(甲第八号証)及び月刊「定温流通」(甲第一一号証の一)に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであると判断されるべきである。

五 法令違背及び理由不備

(一) 法令違背

原判決は、訂正後の発明は進歩性があるとした審決の判断に誤りはないとして、本件発明は進歩性を有するが如くに判断しているが、上告人が右四(四)に述べた理由により本件発明は進歩性なしと判断すべきであり、したがって本件事案については特許法二九条二項の規定が適用されるべきであるところ、原判決は右規定を適用しなかったのであるから、原判決には右規定の解釈、適用において判決に影響を及ぼすこと明らかな法令の違背がある。

(二) 理由不備

原判決は、本件発明と「冷凍コンテナ便覧」(甲第六号証)とを対比して、図一・七〇記載のものにおいて「天井板の左右下側に配された部材(参考図2の符号38'の部材)は、上記のとおり断面略L字形のものであって、屈曲部は角張った形状を呈しているから、本件発明の隅部材における『比較的曲率半径の大きい滑らかな湾曲面を与える略円弧状断面』のものといえないことは明らかである。したがって、原告の上記主張は理由がなく、甲第六号証には、要件b及びcが示唆されていないとした審決の認定判断に誤りはない。」(判決書三一頁六行~一三行)とし、また、本件発明と英国特許明細書(甲第八号証)とを対比して、「甲第八号証には、車両の清掃を容易にするために、隅部は内外共に連続的に丸みを帯びていることが記載されているが、(この点は、当事者間に争いがない。)、上記の要件についての記載はなく、これを示唆する記載もないものと認められる。」(判決書三四頁下から九行~下から五行)と述べている。

原判決の判断手法は、本件発明と各公知文献とを個別的に比較して相違点を摘示しているだけであって、本件発明が容易に発明し得るとは認められないと判断した理由について何ら説示するところがない。(上告人は、平成五年一〇月二一日付け準備書面(第六回)(原審の平成五年一〇月二六日に行われた第六回準備手続期日において陳述。)において、「洗い易くするために隅部材を円弧状断面に形成することは甲第八号証英国特許明細書に開示されており(本準備書面第三頁九行以下参照)、参考図2の隅部材38'(甲第一四号証鑑定書の部材B)も本件発明の隅部材38も洗い易いという作用効果においては何ら変わりはないから、両者の形状の差異は設計上の微差に過ぎない。」(第六頁七行~一四行)と主張したにもかかわらず、原判決の事実摘示における取消事由3には右主張について全然記載されていないし、したがって、原判決には右主張の当否についての判断もその理由も何ら示されていない。)

容易に発明し得るか否かについての判断をしないまま、進歩性ありとした本件審決の判断に誤りはないとした原判決の判断は原判決の結論に影響を及ぼしている。しかも、原判決は、本件発明が容易に発明し得るとは認められないという判断をしたことについての理由が付されていないから理由不備の違法があると言わねばならない。

六 まとめ

原判決は、本件発明が容易に発明しうるとは認められないとした本件審決の判断に誤りはないと判断し、特許法一二九条一項、一二六条三項及び二九条二項の規定により訂正は無効とされるべきであるにもかかわらず、本件発明は同法二九条二項の規定に該当しないから一二六条三項の規定に違反せず、一二九条一項の規定により訂正を無効とすることはできないと判断し、また、原判決は、本件発明が容易に発明しうるとは認められない理由を説示しなければならないにもかかわらず、その説示を欠いている。

よって、原判決には、同法一二九条一項、一二六条三項及び二九条二項の規定の解釈、適用において原判決に影響を及ぼすこと明らかな法令の違背があり、また理由不備の違法があるから、破毀のうえ然るべき裁判を賜りたい。

以上

(添付写真省略)

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